リアル「約束のネバーランド」か!"Before We Were Yours" by Lisa Wingate

Before We Were Yours Audiobook By Lisa Wingate cover art

著者: Lisa Wingate
ナレーター: Emily Rankin, Catherine Taber
再生時間: 14 時間 29 分
配信日: 2017/11/30
言語: 英語
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 著者のLisa Wingateさんは元ジャーナリストで、この物語は事実に基づいているということです。恐ろしい。

Rillと Averyの物語が交互に展開されます。Rillは1939年ごろ両親と4人の兄弟と shantyboat (川用のボート) の上で貧しくても幸せに暮らしていたが、母親が双子を出産することをきっかけに、Georgia Tannの孤児院に無理やり連れていかれる。Georgia Tannは実在の人物で、出産時の麻酔で朦朧としている母親をだましてサインさせたり、死産だったと嘘をついてベイビーを盗み、富裕層に売りさばいていたという、リアル「約束のネバーランド」か!というようなことを実際に商売にしていた鬼女。彼女の孤児院(Tennessee Children's Home Society)で働く人もほぼみんな鬼。虐待が日常的に行われ、死んでしまえばそこらへんに捨ててしまうようなということが、1950年代までアメリカで続いていたという信じられない事実に驚愕。

もう一人の主人公のAveryの物語は、立派なお家柄に生まれたAveryが、老人ホームで一人の老女に出会い、彼女の祖母の過去の秘密が明らかにされていく。Rillとこの老女の関係はいかに!?

Averyの物語でロマンチックな部分が出てくるのですが、個人的にはいらないらないんじゃないかなと思いました。本を売るにはロマンチックな展開を入れろ、という決まりなんだろうか、というくらい多く出てきますよね。

 

おすすめ度:★★★★☆
ドラマを見ているような感覚でさくさく進みました。特にRillの物語は、ハラハラさせられる内容で一気に読み進められます。

おすすめ度まとめ

★5つ
"Miss Benson's Beetle" by Rachel Joyce 
面白くて泣けます。読んでほしい。

"The Handmaid's Tale" by Margaret Atwood 
ドラマが先でも本が先でもいいのでどちらかに関わってほしい。

"The Testaments" by Margaret Atwood 
HuluでHandmaid's Taleを見た人で先が気になって仕方がない人は読んでしまいましょう。

"The Memory Police byil HoneymaYoko Ogawan
小川洋子氏の作品は読みやすいし、ハズレがないです。

"The MaddAddam Trilogy" by Margaret Atwood 
Oryx and Crake はマスト。

★4つ
"Eleanor Oliphant Is Completely Fine" by Gail Honeyman
エレノアの毒舌が楽しいけれど、ダークな部分もたくさんあります。映画化されるようなので読んで損はないです。

"Anxious People" by Fredrik Backman
途中まではつまらないかも。でも我慢して読み進めましょう。最後にかけて気持ちいいほどすっきりします。

"Before We Were Yours" by Lisa Wingate
ハラハラする内容で映画を見ているかのようにサクサク進みます。こんなことが実際にあったとは!と驚く内容。

"Where the Crawdads Sing" by Delia Owens 
2つの時代が交互に描かれ、2つが繋がるのが待ち遠しい。ベストセラーだし、映画化もされるようなので読んで損はないです。

"The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry" by Rachel Joyce
しみじみと感動するのは間違いなし。ただしかなり重い内容がベースです。

"Leaving time" by Jodi Picoult
ゾウの生態がちと長いけれど興味深いし、とにかくどんでん返しがすごいです。

★3つ
"Klara and the Sun" by Kazuo Ishiguro
ぜひ映像化して欲しいです。

"How to American" by Jimmy O. Yang
HBOドラマシリコンバレーを見た人に超おすすめ

"The Midnight Library" by Matt Haig 
もう一度読んだら感想変わるのかもしれない…。

"Caste The Lies That Divide Us" by Isabel Wilkerson 
14時間、ポジティブな気持ちには絶対にならないのを覚悟でGo!

"How to Disappear" by Gillian McAllister 
軽くサクサク読むにはいいと思います。でも長いです。

★2つ
"Before the Fall" by Noah Hawley 
特に勧めませんがさくっと読むにはいいと思います。

"The Nickel Boys" by Colson Whitehead 
ピューリッツァー賞受賞作だし、世間的にはお勧めと思いますが、私は辛いので勧めません。。

"Miss Benson's Beetle" by Rachel Joyce

『Miss Benson's Beetle』のカバーアート

著者: Rachel Joyce
ナレーター: Juliet Stevenson
再生時間: 12 時間 4 分
完全版 オーディオブック
配信日: 2020/11/03
言語: 英語
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多くの本の主人公の特徴として
① 貧しいけれど、よく見るとたぐいまれな美しさ
②虐待されて育ったが、実は卓越した才能を持つ
というのがあげられると思う。彼らは、当たり前だが、本の主人公になるべくしてなる人間で、自分とは違う世界の人であり、気分を盛り上げようと読んだつもりが、かえって自分の不甲斐なさを思い知らされてさらに落ち込むということも…。

しかしこのミスベンソンは、ものすごく平凡。外見の美しさも特技もほぼ何も持っていない。46歳独身。太っていて、髪はもじゃもじゃで、ひとりぼっち。破れた靴を履いて教師として働いている。性格も良いとは言えない。ある日、生徒が彼女の姿を面白おかしくマンガにして、授業中に回して笑いものにしていたことをきっかけに、彼女の中でなにかがぷつんと切れる。そして彼女は子供のころに夢見たGolden Beetleを捕まえるために、ニューカレドニアへ旅立つことを決める。

アシスタントとして雇った人は、ミスベンソンとは真逆な性格で、彼女がアシスタントを募集しなかったら絶対に出会うことはなかったタイプ。二人の相性は最悪で、Golden Beetle探しは絶望的に思える。

この大失敗に思えたアシスタントが、ミスベンソン一人では絶対に乗り越えられない難局を次々に打破していく。最悪のコンビに思えた二人が、最強のコンビに変わっていく。ミスベンソンとアシスタントがお互いの欠けているところを補い合う、というのではない。二人の足し算ではなく、何倍にもなる掛け算で力を発揮し、もはや元の自分ではなく新しい人間に進化を遂げるよう。

とにかくアシスタントの行動がぶっ飛んでいる。それを受け止めるミスベンソンのリアクションが楽しい。著者の比喩の言葉のチョイスがセンスがあって、ぷっと吹き出してしまう。

また情景の表現も美しく、二人と共にニューカレドニアの自然の中を旅しているような気持ちになりました。最後はたぶん多くの人が感動で泣くと思います。

超!おすすめです。ナレーターも素晴らしく、映像が浮かんできました。ぜひ映画化してほしい。

おすすめ度:★★★★★

"Before the Fall" by Noah Hawley

『Before the Fall』のカバーアート

著者: Noah Hawley
ナレーター: Robert Petkoff
再生時間: 12 時間 55 分
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サスペンスだから面白いかしらと思って聞いてみました。(ってことは…)

テレビ局のトップの持つプライベートジェットがニューヨークへ向かって離陸後、まもなく墜落してしまう。ひょんなことからこの飛行機に乗ることになったスコットという画家とテレビ局のトップの4歳の息子が奇跡的に助かる。

この両親を亡くした男の子の親になることになり、いきなり大金を持つことになったカップルのストーリーやら、テレビ局トップが直前に知ったスキャンダルのストーリーやら、スコットを含めた乗員全員の過去のストーリーが語られていき、墜落原因の真相はいかに!?的なお話。

最初は「そして誰もいなくなった」的に乗客全員がどこかで繋がっていて、このつながった糸のもつれが事故を引き起こしたという流れになるのかと、面白い本に出会ったかもしれない…と聞き進めてました。

結果→そんなにもつれていなかった。原因が単純なことだったので、期待していた分がっかり。

テレビ局側は、スコットが犯人と決めつけて取材を進めていく。スコットが何を語っても犯人に仕立て上げてしまう悪意むき出しのインタビュアーがとても不快。アメリカのニュースキャスターは、日本の人と違って、自分の意見を強く語るし、語り方もかなり説得力があるが、このインタビュアーはそれの最たるもの。メディアがこうと決めつけたら、とことんその線で報道していくやり口が怖い。

対するスコットは、相手の挑発に乗らずに大健闘。普通の人ならすぐやり込められてしまうか、言うことに詰まってしまうか、まともにはいられないと思う。スコットは普通の画家のはずなのに、悪意のある質問を上手にかわすのが普通じゃない。別の場面で女性の誘惑に乗らないのも普通じゃない。結局普通じゃないからリアリティがいまいち感じられなかった。

 

おすすめ度:★★☆☆☆

つまらないというわけではなく、聞きにくいというわけでもないけれど、前半期待していただけに残念な結果でした。

"Where the Crawdads Sing" by Delia Owens

『Where the Crawdads Sing』のカバーアート

著者: Delia Owens
ナレーター: Cassandra Campbell
再生時間: 12 時間 12 分
配信日: 2018/11/08
言語: 英語
Kindle版はこちら

 Audibleでベストセラーになっているので、読んだ人はたくさんいると思います。

カーヤという少女が主人公。父の暴力で愛する母が去り、兄弟も去り、飲んだくれの父と二人で暮らしていたが父もやがて去り、彼女は沼地でたったひとりで生きていくことになります。

物語は2つの時代が交互に描かれていて、ひとつはカーヤが子供から大人に成長していくストーリー。もうひとつは、カーヤが大人になった時代に沼地で死体が発見され、これは殺人なのか事故なのかという捜査のストーリー。この2つの時代が交互に描かれ、やがてカーヤの成長のストーリーが沼地の捜査の時代に追いついていきます。

とにかくカーヤの育つ環境が悲しい。誰かに虐められるとか、身体的な痛みがあるわけではないし、食べるものもないわけでもない。ただただ彼女が本当にひとりぼっちなのです。昼も夜も次の日もその次の日もいつもひとり。コロナの自粛で「最近人としゃべってないわー」どころの話ではない。家族も友だちもいない。友だちや恋人と呼べる人も出てくるけれど、一時的であって圧倒的にひとりぼっち。

カーヤはひとりの寂しさを解消してくれる人を求めていろんな努力をするのだけれど、街の人はカーヤをマーシュガール(沼地の子)と見下して近づかないし、カーヤも街で暮らしてはいけない。

カーヤが人を待ち続ける場面は本当に辛い。恋人からラインの返事がないというような甘いものではない。自分がカーヤだったら…と考えたらぞっとしてしまう。人を信じられなくなってしまうのも納得。

それでもカーヤは沼地を愛し、沼地の野生を愛し、そこから彼女の未来が開けていく。カーヤが絵が上手で本当によかった!

この本の作者のDelia Owensは動物学者ということで、沼地の動物や景色の描写が美しいです。気になったのは、カーヤの初潮の場面は、それなないでしょう…と思ったけど、人それぞれですからね。そして性的な場目は妙に生々しいです。

リース・ウィザースプーンが映画化するということなので、楽しみです。

 

 おすすめ度:★★★★☆

英語は超難しいわけではないし、わかりにくい表現も多くなく、聞きやすいです。ナレーターもいいと思います。

 

ブログ始めます。

 

オーディブルで聞いた本の感想を書き留めていきたいと思います。カナダに住んでいたことがあるので、英語を忘れないように、洋書を中心に聞いています。英語ネイティブではないので、英語がわからないところもよくありますが、あまり気にせず進めているため、理解できていなかったり、間違って理解していたりすることも多々あると思います。

Overyonderという名前は、最近聞いた本の中でyonderという言葉が何回か出てきたのですが、響きが気に入ったのと「読んだ」みたいなので。