映像化して欲しい "Klara and the Sun" by Kazuo Ishiguro

『Klara and the Sun』のカバーアート
著者: Kazuo Ishiguro
ナレーター: Sura Siu
再生時間: 10 時間 16 分
配信日: 2021/03/02
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Ishiguro氏のノーベル賞受賞後初の作品。

クララというAF(Artificial Friendというロボット)が主人公の近(遠?)未来。AFはお金持ちの家庭の子が買ってもらえる高級おもちゃ的な存在です。道で普通に見かけるほどだから現在のペッパー君よりかなり出回っている。AFの髪の毛や肌の色についての記述があるので、人間に近い外観と思われるけれど、AFであると普通に判断できるので人間とは明らかな違いがあるのでしょう。どんなものなのかを映像で見てみたい。

AFはスマホのように次々に改良型が出てくるようで、クララは最新のものではなく、ひとつ前の型のロボット。ただし同じ型のロボットでも個体差があるようで、クララは人間観察眼がずば抜けている。そして、様々なシチュエーションを経験して、クララはさらに人間の感情を理解していく。

クララは買ってくれた家族想いで、理不尽な態度をされたとしても穏やかに大人な対応ができる、優秀なロボット。ただし、どんなに家族と交流を深めても、ロボットはロボット、という存在意義は変わらない。 Ishiguro氏の臓器移植用に生まれ育った子供たちのお話「私を離さないで」で感じたような、どこか割り切れない寂しさがずっと流れています。この余韻はずっと残ります。おすすめかと言われたら「ぜひ!」とは言えないけれど、映像で見てみたいかと言われたら、「絶対見てみたい!」です。

少女の肖像があきらかになる場面は、かなりな衝撃シーンになることでしょう。

おすすめ度:★★★☆☆