"Where the Crawdads Sing" by Delia Owens

『Where the Crawdads Sing』のカバーアート

著者: Delia Owens
ナレーター: Cassandra Campbell
再生時間: 12 時間 12 分
配信日: 2018/11/08
言語: 英語
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 Audibleでベストセラーになっているので、読んだ人はたくさんいると思います。

カーヤという少女が主人公。父の暴力で愛する母が去り、兄弟も去り、飲んだくれの父と二人で暮らしていたが父もやがて去り、彼女は沼地でたったひとりで生きていくことになります。

物語は2つの時代が交互に描かれていて、ひとつはカーヤが子供から大人に成長していくストーリー。もうひとつは、カーヤが大人になった時代に沼地で死体が発見され、これは殺人なのか事故なのかという捜査のストーリー。この2つの時代が交互に描かれ、やがてカーヤの成長のストーリーが沼地の捜査の時代に追いついていきます。

とにかくカーヤの育つ環境が悲しい。誰かに虐められるとか、身体的な痛みがあるわけではないし、食べるものもないわけでもない。ただただ彼女が本当にひとりぼっちなのです。昼も夜も次の日もその次の日もいつもひとり。コロナの自粛で「最近人としゃべってないわー」どころの話ではない。家族も友だちもいない。友だちや恋人と呼べる人も出てくるけれど、一時的であって圧倒的にひとりぼっち。

カーヤはひとりの寂しさを解消してくれる人を求めていろんな努力をするのだけれど、街の人はカーヤをマーシュガール(沼地の子)と見下して近づかないし、カーヤも街で暮らしてはいけない。

カーヤが人を待ち続ける場面は本当に辛い。恋人からラインの返事がないというような甘いものではない。自分がカーヤだったら…と考えたらぞっとしてしまう。人を信じられなくなってしまうのも納得。

それでもカーヤは沼地を愛し、沼地の野生を愛し、そこから彼女の未来が開けていく。カーヤが絵が上手で本当によかった!

この本の作者のDelia Owensは動物学者ということで、沼地の動物や景色の描写が美しいです。気になったのは、カーヤの初潮の場面は、それなないでしょう…と思ったけど、人それぞれですからね。そして性的な場目は妙に生々しいです。

リース・ウィザースプーンが映画化するということなので、楽しみです。

 

 おすすめ度:★★★★☆

英語は超難しいわけではないし、わかりにくい表現も多くなく、聞きやすいです。ナレーターもいいと思います。